一般分布定数回路の数値計算

\begin{equation} \frac{\partial v}{\partial z}=-Ri-L \frac{\partial i}{\partial t} ・・・①\end{equation}\begin{equation} \frac{\partial i}{\partial z}=-Gv-C \frac{\partial v}{\partial t}・・・②\end{equation}

①式を離散化する。 $ n $ を時間、 $ k $ を距離とする。

\begin{equation} \frac{v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z}=-Ri^{n}_{k+0.5}-L \frac{i^{n+0.5}_{k+0.5}-i^{n-0.5}_{k+0.5}}{ \Delta t} \end{equation}

\begin{equation} \frac{\Delta t}{L}( \frac{v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z}+Ri^{n}_{k+0.5})=i^{n-0.5}_{k+0.5}-i^{n+0.5}_{k+0.5}\end{equation}

\begin{equation} i^{n+0.5}_{k+0.5}=i^{n-0.5}_{k+0.5}- \frac{ \Delta t}{L}( \frac {v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z}+Ri^{n}_{k+0.5})・・・③\end{equation}

時間 $ n $ -0.5、 $ n $ 、 $ n $ +0.5の3点の時間がでてきているので、 $ n $ を $ n $ -0.5、 $ n $ +0.5で表すために、線形補間する。

\begin{equation}i^{n}_{k+0.5}= \frac{1}{2}(i^{n+0.5}_{k+0.5}+i^{n-0.5}_{k+0.5})・・・④\end{equation}

④式を③式に代入

\begin{equation} i^{n+0.5}_{k+0.5}=i^{n-0.5}_{k+0.5}- \frac{ \Delta t}{L}( \frac {v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z}+ \frac{R}{2}(i^{n+0.5}_{k+0.5}+i^{n-0.5}_{k+0.5}))\end{equation}

\begin{equation} =i^{n-0.5}_{k+0.5}- \frac{ \Delta t}{L}( \frac {v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z})- \frac{ \Delta t R}{2L}i^{n+0.5}_{k+0.5}- \frac{ \Delta t R}{2L}i^{n-0.5}_{k+0.5}\end{equation}

\begin{equation} (1+ \frac{ \Delta t R}{2L})i^{n+0.5}_{k+0.5}=i^{n-0.5}_{k+0.5}- \frac {\Delta t}{L}( \frac {v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z})- \frac { \Delta t}{2L}Ri^{n-0.5}_{k+0.5} \end{equation}

\begin{equation} i^{n+0.5}_{k+0.5}= \frac{1}{1+ \frac{ \Delta t R}{2L}}(i^{n-0.5}_{k+0.5}- \frac {\Delta t}{L}( \frac {v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z})- \frac { \Delta t}{2L}Ri^{n-0.5}_{k+0.5})\end{equation}

 \begin{equation} =\frac{1}{1+ \frac{ \Delta t R}{2L}}((1- \frac{ \Delta t R}{2L})i^{n-0.5}_{k+0.5}- \frac{ \Delta t}{L}( \frac {v^{n}_{k+1}-v^{n}_{k}}{ \Delta z} ) )・・・⑤ \end{equation}

同様に②式を離散化する。それは⑤式で $ i $ を $ v $ 、  $ v $ を $ i $ 、 $ R $ を $ G $ 、 $ L $ を $ C $ と書き換えればいい。ここでの書換で④式に対応する線形補間を電圧についても行っている。よって

\begin{equation} v^{n+0.5}_{k+0.5}=\frac{1}{1+ \frac{ \Delta t G}{2C}}((1- \frac{ \Delta t G}{2C})v^{n-0.5}_{k+0.5}- \frac{ \Delta t}{C}( \frac {i^{n}_{k+1}-i^{n}_{k}}{ \Delta z} ) )・・・⑥ \end{equation}

 $ v $ と $ i $ を交互に計算していくため、$ n $ に0.5をたし、 $ k $ から0.5をひく

\begin{equation} v^{n+1}_{k}=\frac{1}{1+ \frac{ \Delta t G}{2C}}((1- \frac{ \Delta t G}{2C})v^{n}_{k}- \frac{ \Delta t}{C}( \frac {i^{n+0.5}_{k+0.5}-i^{n+0.5}_{k-0.5}}{ \Delta z} ) )・・・⑦ \end{equation}

⑤式と⑦式から、初期条件と境界条件をあたえて、順次計算していくと、R,L,G,Cを考慮した一般の分布定数回路の数値計算ができる。

距離と時間の離散化間隔は、 $ \Delta z $ =10e-5、 $ \Delta t $ =5e-13位にしないと、解が発散する。発散しないように何度も時間と距離の離散化間隔を変えて試行する必要がある。

初期条件、境界条件の与え方は、

http://aisl.cs.tut.ac.jp/~satake/class/P4/p4.2_text.pdf

を読んで、実装してください。

このpdfは一般の分布定数回路って、解明されてる部分が少ないなと思って、FDTDで計算できるんじゃないかと思いついたとき、ネットで先駆者はいないかと思って探して見つけたものである。幸い、教育目的のPDFだったので、無損失線路の計算になっていた。よっしゃと思い、この課題をプログラミングし、期待通りの結果が得られたので、このブログの内容の式変形で、一般の分布定数回路に拡張した。最初のうちは発散して値が無限大にふっとんでたのだが、必ずうまくいくと信じて試行錯誤を繰り返した。発散しない点をみつけたあとも、プログラムミスがあって、ちょっとおかしい結果だったが、何度も式の入力を全部消してプログラムしなおして、それらしい結果が得られるようになった。

このpdfの内容を書いたさたけ先生のアイデアは、分布定数回路と集中定数回路を親和させるアイデアや、磁界を電流、電界を電圧にみたてFDTDを構築するというアイデアであり、英語圏の世界を含めても世界初だと思う。ぼくは、ピーチクパーチクさわぐが、さたけ先生はさりげないとこが、僕とは違う所である。

さて、この分布定数回路のモデルは、太さがない線路であり、しかも片方がGNDで単線モデルである、また曲がった線路もだめである。

線の太さを考慮すると、表皮効果というものがある。これは、太さを考慮したモデルを構築すれば表皮効果という現象は自然にはいってくると思われる。表皮効果の研究は昔からされていて、これについては、また書いてみたいと思う。

片方がGNDの単線モデルから2線モデル、n線モデルと続くが、2線+GNDモデル

をやってみて、同相モードと差動モードの電流の速度差がでるとこまでは計算できたが

今一つ結果に自信がなく途中でストップしている。立てた式が正しいかもう一度検証する必要があるので、またやる気になったらやってみたい。

曲がった線路については、今の実力では無理なのでやっていない。やってみたけど

そんな甘くなかった記憶が残っている。いずれにしろまた挑戦してみたい。

あと、線路が分岐する場合は、うまくいって、これは書くまでもないので

FC2のずるやすみねこのリサイズ研究ブログに計算波形がのってますといっておきます。これは無損失線路でやってます。