有限体でのガロア拡大(その2)
昔の記事でf(x)=x^8-xとおくと、GF(2^3)上でのf(x)=0の根が、GF(2^3)のすべての元になる理由がわからなかったのですっきりわかったら書くという宿題の答えが半分でた。
x^8-x=x(x-1)(x-α)(x-α^2)(x-α^3)(x-α^4)(x-α^5)(x-α^6)となる理由は
まず、掛け算、足し算という演算が成り立つ体というのは、共通の性質を持っているということである。
だから、複素数全体を元とする体で微分が定義できれば、ガロア体でも微分の法則は同じなのである。
なので整数を対象にした7で割った余りで構成される剰余体についてフェルマーの小定理が成り立てば、ガロア(拡大)体でもフェルマーの小定理
は同じ法則で成り立つのである。
通常のフェルマーの小定理の具体例は
a^(7-1) = 1 (mod 7)
aが7で割った余りの剰余体の元のうち0を除いたもの、つまり、1,2,3,4,5,6ですべて成り立つといっているのである。これについては、下の記事を参照ください。
ということは、
f(a)=a^6-1とおいてf(a)=0の根は1,2,3,4,5,6ということと同値である。
よってa^6-1=(a-1)(a-2)(a-3)(a-4)(a-5)(a-6) mod 7
両辺にaをかけるとa^7-a=a(a-1)(a-2)(a-3)(a-4)(a-5)(a-6) mod 7
フェルマーの小定理はpが素数ならx^p-xはpで割った剰余体において、すべての元を根にもつということ
x^p-x=x(x-1)(x-2)(x-3)(x-4)(x-5)・・・(x-(p-1))
の言い換えであることがわかった。
したがって
2で割った余りのガロア体GF(2)でもフェルマーの小定理はなりたち、
その拡大体であるGF(2^3)でもフェルマーの小定理はなりたつのである。
ただ、半分わからないといったのは、2^3は素数でないから、素数じゃなきゃいけないはずだった。
2019.12.14訂正
GF(2^3)のカッコ内の2^3は、そのガロア体の元の数なので、素数じゃなくても、問題な
いです。
しかしGF(2)で成り立つことは、GF(2)の拡大体GF(2^3)でも成り立つというこじつけをい
れてみることにする。
よって、x^p-xは対象にしている体において、すべての元を根にもつということで
x^8-x=x(x-1)(x-α)(x-α^2)(x-α^3)(x-α^4)(x-α^5)(x-α^6)
と因数分解できるのである。
GF(p)(pは元の数でガロア拡大体ではない場合素数になる)は、pでわったあまりの剰余体
GF(p^n)は、GF(p)を多項式表現したとき、原始多項式で割ったあまりの剰余体
である。
この最後の3行で、なんとなく、p^nが素数でなくてもなりたつという気がするのでは
ないでしょうか???